モダンタイムス [book]
~あらすじ~
『魔王』の50年後の世界で、今から数十年後との設定。
システムエンジニアの渡辺は、とある出会い系サイトの仕事を担当するが、そのサイトでは“播磨崎中学校”“安藤商会”等、明らかに出会い系サイトには関係のない単語の検索すると辿り着くような設定となっていることが分かる。
同サイトの仕事では、渡辺の会社の先輩「五反田」が担当中に失踪するという出来事が起こっており、五反田からの電話では「見て見ぬふりも勇気」との助言も得ていたが、渡辺の後輩「大石倉之助」らは“検索”を行い事件に巻き込まれていく・・・
~感想~(内容に関する記述あり)
同時期に書かれた『ゴールデンスランバー』同様、情報監視を強めた社会で生きる人々を描いているが、後書にも書かれているように“権力”から逃げる『ゴールデンスランバー』に対し、“権力”に立ち向かう作品であった。
作中で、「人は知らないものにぶつかった時、まず何をするか?」、「検索するんだよ」。とあるが、実際、現代人の行動様式はまず“検索”であり、ここを監視するとある程度の人間の行動はチェックできるのでしょう。
まあ、正面から庶民と権力の戦いを描いたりせず、色々な能力を備えた超能力者?たちが登場するあたりは、とても伊坂ワールドを感じさせてくれる物語でしたが、なかなか考えさせられることの多い作品でした。
普通にネットを見ていて、ページ脇に自分が最近検索した商品の広告が出ていたりするのも、あまり良い気分ではないですが、便利な反面そこから逃れることも難しいのですかね・・・
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