深夜特急4 [book]
~あらすじ~
著者の沢木耕太郎がインドのデリーからロンドンまでをバスで旅する紀行小説。4巻はインドからパキスタン、アフガニスタンを経てイランに至るまでの旅を綴っている。
~感想~
インドでの描写で、“抱き上げた子どもが天然痘か水痘かに罹っていたらしく、水疱が潰れて出た水分がつたってきた際に、ギクッとしたものの慌てて両親に突き返そうという気にはならなかった”という標記があった。
そのときの感覚として、「天然痘にしたところで、いくらインド全土で何十万、何百万の人が罹っているといっても、残りの5億人は罹っていないのだ。そうであるなら、インドをただ歩いているにすぎない私が感染したとすれば、それはその病気によほど『縁』があったと思うより仕方がない。」といった、ある種の諦観のようなものができていたと語っている。
これは沢木氏がもとから持っていた資質なのか、旅のなかで身に付けたものなのかは分からないが、確かにそのような感覚を持てなければドミトリーを転々としながらの旅などは続けられなかったのであろう。残念ながら私はそのような感覚を持ち合わせていないが、この境地に辿り着くと怖いものはないのだろうと感心した。
あと印象に残ったのは『ペルシャ逸話集』のなかで王が子に残したという言葉であった。「いかに若くとも栄光ある神を忘れるな、死に対して安心するな、死は老若の区別をつけないからだ」と語った後、「若いうちは若者らしく、年をとったら年寄りらしくせよ。」と語られている。
「年をとったら年寄りらしく」・・・ まだ先のこととはいえ、しっかり受け止めるのは難しそうですね。
タグ:深夜特急
コメント 0